Vol.06EV急速充電器導入事例
コーナン商事が考える、 ホームセンターと急速充電器の親和性
コーナン商事株式会社 開発部 開発管理グループマネージャー/溝口高志様

今回のインタビュー先

今回のインタビュー先

ホームセンター業界大手のコーナン商事は、2015年にホームセンターコーナン10店舗へ急速充電器を設置。 2024年8月現在、急速充電器設置店舗を32店舗まで拡大し、設置検討店舗を全国へ広げながら、飛躍的拡大に向けてe-Mobility Powerと協業を進めています。 今回は積極的に急速充電器の設置を進める理由やその反響について、プロジェクトを指揮するコーナン商事の溝口高志様にお話を伺いました。

「なんでも一番にやる」の精神で、迷わず決めた充電器の設置

―御社が最初に急速充電器を設置されたのは2015年です。当時、どのような背景から充電器設置を決めたのでしょうか?

弊社には「なんでも一番にやる」をモットーに、他社がまだやっていないことに果敢にチャレンジしていくという社風があります。ジャパンチャージネットワーク(2023年4月にe-Mobility Powerが吸収合併)から充電器設置のお話をいただいた当時は、まだEV向け急速充電器を設置している企業はほとんどありませんでした。近い将来、ホームセンターには充電器があたりまえに設置されている時代が必ず来ると考え、旗艦店と位置付ける10店舗に急速充電器を設置することにしたんです。迷いはまったくありませんでしたし、社内で反対の声もありませんでした。2020年からはe-Mobility Powerとの協業が始まり、これまでに27基(計54口)を設置。旧型の充電器については、順次新しい機種に入れ替えています。

―充電器を設置した店舗からはどのような反響があったのでしょうか?

お客様からは「充電器があって便利で助かる」という声をいただいています。入替工事などの際に充電器を休止すると、「いつ再開するんですか?」とお客様に聞かれることもあり、地域の公共インフラとして必要とされていることを実感します。また、まだ充電器を設置していない店舗からは、ぜひ充電器を設置してほしいという要望も寄せられています。

例え数%でも、集客につながるのは間違いない

―急速充電器をよくご利用されるお客様にはどのような特徴があるのでしょうか?

マンションや集合住宅には、まだEV向けの普通充電器が設置されていないことが多く、また設置されていたとしても数が限られており、なかなか充電できない場合もあると伺っています。そのような近隣のお客様がリピーターとして、買い物ついでに最寄りのコーナンの急速充電器をご利用いただいているものと想像しています。

―ホームセンターと急速充電器の親和性は高いということでしょうか?

多くのお客様が、充電器を30分ご利用されているようです。その間、車内で待たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、多くのお客様は店内で過ごされます。ホームセンターのお客様の店舗への滞在時間と急速充電器の利用時間がマッチしており、相性が良いと感じます。また、商業施設には必ずトイレがあります。トイレを利用する際、店舗の中を通ることで購買につながるケースもあるでしょう。日本のEV普及率はまだ決して高いとは言えませんが、例え数%であっても、充電器の存在が集客につながっているのは間違いないと思っています。それが、急速充電器の積極的な設置を進める理由でもあります。

―EVオーナーは自分のお気に入り充電スポットをいくつか持っていることが多いと聞きます。そのようなお客様にコーナンの充電スポットのリピーターになっていただくことによって、相乗効果が生まれるということでしょうか?

そうですね。逆に、気に入っていた充電スポットなのに、いつ行っても混雑していて充電できないということになれば、お客様が離れてしまいます。急速充電器の利用状況に応じて、1日の利用回数が多い店舗は充電器を増設することで、機会ロスを減らし、リピーターを増やし、顧客満足度を高めていく。それが我々が目指す次のステージです。

国内最大級の充電器ネットワークを持つe-Mobility Powerと組めたことが大きなメリットに

コーナンドイト戸田店(埼玉県戸田市)の急速充電スポット

―急速充電器設置に対する周囲の反応はいかがでしたか?

ネガティブな声は一切なく、社内はもちろん、社外からも肯定的な反応ばかりでした。当時はESG投資やSDGsが徐々に注目され始めた頃で、取引先からは「環境への取り組みをずいぶんと早くから進めているんですね」と称賛いただくことも多く、かなりの手応えを感じましたね。

IRや経営企画部門から、急速充電器設置の取り組みを紹介するために設置基数や実績について詳しく知りたいと言われたことを覚えています。

―今のお話にもありましたが、御社が行っている環境問題への取り組み、特に省エネを通じたCO2排出量削減を目指した脱炭素社会への貢献について、その詳細を伺えますか?

弊社では、一部店舗の屋上に太陽光発電パネルを設置し、クリーンな電力の供給に努めています。また、兵庫県淡路地域における水素製造・利活用プロジェクトへの協力、ドライバー不足の解消や環境負荷低減を目指した全長25mのダブル連結トラックの運行なども行っています。EVについては、充電ネットワークサービスの構築に向けた実証実験に参加しており、そこでの経験が現在のe-Mobility Powerとの協業につながっています。地域と社会に貢献しながら、ビジネスとしてもメリットを生み出せるよう、これからもさまざまな取り組みを行っていくつもりです。

―最後に、e-Mobility Powerとの協業で、御社が感じたメリットについてお聞かせください。

国内最大級の充電インフラネットワークを持つe-Mobility Powerと組めたこと、これが一番のメリットですね。充電カード1枚で全国の充電器が利用でき、充電ネットワークの会員数も多いという土台があるからこそ、一緒にさまざまなチャレンジができますし、安定したサービスを提供できるのだと思います。

冒頭でも申し上げましたが、コーナンは「小売業界初!」となる取り組みが大好きですから、これからも新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思っております。例えば、急速充電器と普通充電器が多数設置された、より一層EV充電に特化した店舗をつくってみても面白いかもしれません。e-Mobility Powerと一緒に、EVユーザーに沢山来店いただける充電スポットがある魅力的な店舗作りにチャレンジしていきたいです。